ZZR1100のカムかじりを防ぐには

Ｎｉｎｊａ系エンジンによるトラブルのメジャー系トラブルに「カムかじり」があります。 この「カムかじり」は始動時にヘッド周りへのオイル切れによる潤滑不足によって起きる現象で 「カムかじり」が起きるとガシャガシャ音が聞こえるようになります。

私は現在のZZRの前にNinja900Rを乗っていたので、この経験からカムかじり対策の情報共有できれば良いかと思います。

原因： カムかじりの原因はヘッド周りへのオイル切れによる潤滑不足と書きましたが、なぜ潤滑不足を起こすのか？ Ninja系エンジン潤滑方式は、ウェットサンプ式（＝圧送飛沫併用式）と呼ばれ、現在の４ストエンジンのほとんどに採用されている一般的な方式です。 オイルパンに溜まったオイルをポンプで吸い上げ、オイルフィルターを経由して細かな汚れを取り除いてから、クランクシャフトやミッション、シリンダーヘッドなどに送られ、各部から垂れ落ちてオイルパンに戻る仕組みになってます。

シリンダーヘッドに送られたオイルは、カムシャフトのジャーナル部とカムを潤滑し、バルブスプリングまわりを通って、最後はカムチェーンホールを通ってオイルパンに戻ります。

カムのジャーナル部は、カムを押さえるホルダーとの間に強制的にオイルが送られる構造になっているのですが、 カム面にはオイルラインから流れ出るオイルをかけるだけです。

カムシャフト吸排気の回数分回るので毎分数千回のスピードで回転してますから、オイルがかけられても遠心力で剥離してしまいます。

しかし、その辺は見越して設計されていますし、最近のオイルは金属表面への吸着性や残存性も高くなっいるので、そこまで慎重になることはないのですが、基本的に油膜切れを起こしやすいのは事実です。

対策： １．気温が低いと言ってもオイル粘度を低くし過ぎない。10W-40以上を推奨（オイルの吸着力を維持するため） ２．エンジン始動時にマシンを水平にしてかける（カムの真上からオイルがかからず、横方向にオイルが逃げてしまう） ３．2週間に一度はエンジンをかける ４．冬はチョークを引かずに、エンジンがかからないようにセルを数回にわけて回す（クランキングがメイン） ５．フィルター交換よりフラッシングを多めに行う（オリフィスの洗浄目的） ６．エンジンがヒート気味のときのアイドリングをストップさせる（ファンはまわるようにイクニッションはON）

特に以前に乗っていたNinja900Rはこのカムかじりに慎重になる必要がありました。 特にコールドスタートでは １．車両にまたがり車体を垂直に起こした状態でチョークレバーを引いた状態でスターターボタンを押す。 ２．エンジン始動後はチョークレバーで回転数を1500rpm～1800rpm以内でキープする。 ３．約5～10秒でチョークレバーを戻し、スロットルグリップでアイドリングを上げていき1500rpm～1800rpmに調節する。 ４．スロットルがエンジンに着いてくるようになったら水温上昇を待たずに発進。 ５．水温計の針が少し動くまで1500rpm～1800rpmキープで走行を続ける。 つまり暖機運転時の無負荷状態を減らして、カムシャフトにオイルを潤滑させると言う儀式を毎回行った。

他に気を付けていたことは

・オイルは3000kmから4000kmで交換 ・その代わりにオイル交換時はフラッシングをできるだけやった。 ・フィルター交換は1万kmに1回でOK（フラッシングによりあまり汚れなかった）

ZZR1100のD型（後期型）はロッカーアームを16個に分割したり、カムシャフト面のコーティングが強化したり、オイルポンプの吐出量も増えたので大分カムかじりは減りましたが、Ninja系エンジンを長持ちさせるにはこの方法で良い状態をキープできます。

なおカムがかじったからと言って、即交換する必要は特にありません。 あまりにも音がひどかったり、アイドリングが安定しない、ノッキングが起きるなどが発生した場合は、ロッカーアームなどが曲がる可能性もあるので ヘッド周りの部品交換なり、調整が必要になります。 ただし、かじり現象が起きている状態でレッドゾーンまで回すとか、空ぶかしなどのエンジンに負荷かかることは避けましょう。 他の部品も壊れる羽目になります。

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